自分は隣にいることしかできなかった(その1)
昔付き合っていた彼女がいた。
大学時代のバイト先で知り合った方。
そのバイト先の友人の結婚式で再会した。
よくある話。
付き合い始めてから数か月したころ、彼女から仕事について相談を受けた。
仕事がしんどい
確かに帰りは遅くなっていたし、たまたま彼女の近場に住んでいた私の家に泊まる日も多くなっていた。
仕事の帰りが遅くなるからというのは半分で、泊まるための理由付けだと思っていた。
しんどいならやめてもいいと思うよ
そうとしか言えなかった。
彼女も悩み、迷いながらも、いい人もいるからと、仕事を続けた。
それから数か月したころ、彼女が病院に行くようになった。
理由はよくわからなかった。
そうこうしているうちに引っ越して同棲するようになる。
私の家の更新が近いことをふっと話したところから、二時間かけて同棲のメリット、デメリットを議論しあい、結論に至った。
要は押し負けた。
引っ越しも終わり、新居になれてきたころ、彼女からこう切り出された。
しばらく会社を休もうと思う
どうしたのか聞いてみると、ストレス性のうつ状態になっていたんだとか。
産業医にかかり、相談し、彼女は会社を休むことを決断した。
私もそれがいいと思った。
しばらく休んだらいいと。
仕事は大変なこともあるけど、楽しいことが大事、そう思っていたし、自分もそうしてきたから。
翌日から家に帰ると彼女が料理を作って待っている生活が始まった。
これはこれでいい。
悪くない。
心のどこかで、本当にこれでいいのかと迷いながら。
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